SUMMARY

DAY1

6.5[月]

10:00 - 10:45

オープニングセッション

SPEAKERS

  • 経済産業大臣

    西村 康稔

  • ASEAN事務総長

    Kao Kim Hourn

  • 工業大臣
    インドネシア

    Dr. Agus Gumiwang Kartasasmita, M.Si.

  • 貿易産業大臣
    フィリピン

    Alfredo E. Pascual

  • ASEAN-BAC
    議長

    M. Arsjad Rasjid P.M.

  • 日本商工会議所
    会頭

    小林 健

  • 東アジア・アセアン
    経済研究センター(ERIA)
    事務総長

    西村 英俊

経済産業大臣西村 康稔

西村経済産業大臣は、日ASEAN ビジネスウィーク2023 の開会挨拶で、日本とASEAN 友好協力50 周年を迎える年に初めて対面で開催できたことに感謝の意を表し、ASEAN の成長と活力についても述べ、日本とASEAN が経済関係を築く上での方向性について議論してきたことを強調した。
また、「日ASEAN 経済共創ビジョン」を公表し、日本とASEAN が双方の強みを生かし、信頼に基づいて共創し、未来を築いていくことが重要だと述べ、具体的な取り組みとして、カーボンニュートラルな社会の実現、イノベーション創出に向け日ASEANをその中心地とすること、そして人のネットワーク構築等を重視すると述べた。
さらに、再生可能エネルギーの導入や脱炭素化プロジェクトの推進、日ASEAN のイノベーション創出の促進、産業間の協力などの具体的な取り組みにも言及した。また、日ASEAN ヤングビジネスリーダーズサミットやZ 世代ビジネスリーダーズサミットの開催を発表し、若い世代の結集を図る意向が示された。最後に、日ASEAN ビジネスウィークが日ASEAN の共創を進めるための機会になることを期待する旨言及があった。

ASEAN事務総長Kao Kim Hourn

カオ・キムホンASEAN事務総長は、ASEANと日本のパンデミック後の目覚ましい回復力に言及し、特に日本における2023年の予測成長率は回復に向けて前進していることを強調した。また、ASEANと日本は、貿易、投資、セクター間の協力構築を推進しており、今後の目標としては包括的な戦略的パートナーシップの確立と更なる関係強化であると述べた。その上で、企業に対しては二酸化炭素排出ゼロへの貢献を促し、持続可能性と環境技術に重点を置く姿勢を見せた。また、デジタル技術はASEAN地域にとってイノベーションと生産性の推進力であると述べ、ASEANのコストアドバンテージと日本の専門知識を活用したパートナーシップと多様化を通じてサプライチェーンを強化することに言及し、併せて、現在ASEANと日本では、貿易協定や地域的かつ包括的な経済連携による課題解決の取組、好機を掴むための対応に注力していることを表明した。これらの対応は、将来的なビジョンとしてデジタルトランスフォーメーション、持続可能性、サプライチェーンの再構築を推進し、ASEANと日本が共に繁栄していく未来の姿を築くために重要であると述べた。

工業大臣 インドネシアDr. Agus Gumiwang Kartasasmita, M.Si.

アグスインドネシア工業大臣は、ASEANと日本の経済における協力関係、特にデジタル経済、持続可能性、クリーンエネルギー分野を中心とした連携の重要性に焦点を当てて発言した。また、ASEAN議長国としての責任や目標、アジアのエネルギーと経済の統合についても言及し、更にインドネシアと日本における二国間の経済的なパートナーシップの進展の重要性を強調し、今後の協力関係の更なる強化について述べた。最後に、過去50年におけるASEANと日本で構築されてきた友好関係に感謝し、将来の協力関係強化に向けた取り組みに対するコミットメントを表明した。

貿易産業大臣 フィリピンAlfredo E. Pascual

パスカルフィリピン貿易産業大臣は、ASEANと日本の歴史的な協力関係や地域経済発展への貢献について強調した。特に過去50年におけるASEANと日本の二国間の貿易取引と投資活動の増加、経済的パートナーシップのアジア全体に対する多大な影響力、フィリピンによる地域的かつ包括的な経済連携への参画に伴うASEANと日本の経済関係構築の活発化への期待の高まりに言及した。将来的には、ASEANと日本は信頼の基盤を築くことで更なる連携強化に取り組み、結果として相乗的に発展する関係性を構築していく可能性があると述べた。特にASEANの若く活気ある人口や成長する中間層は経済共同体として急速に進化している一方、日本は成熟した経済と技術力を有していることから、これらの特徴は補完的な強みであり、相互の成長を促進する重要な要素であると提言した。この連携により、国家としての経済的な繁栄だけでなく、社会的発展や関係性強化も加速する可能性があり、公平で持続可能な繁栄や国家レベルで共創された経済成長の個人単位への還元を追求すること、その実現においては関係者、政策立案者、企業、指導者、学術界、そしてASEANと日本の若者たちがこの新しいパートナーシップに参加し、共に繁栄する未来に向けて行動することが重要であると述べた。

ASEAN-BAC 議長M. Arsjad Rasjid P.M.

ASEAN-BAC アルシャド・ラシッド議長は、ASEANと日本の50年のパートナーシップの歴史を振り返り、特に2008年の日ASEAN包括的経済連携協定の構築を皮切りに強化された新たな協力関係を祝福した。更に日本がASEANの重要な貿易相手国であり、G7サミットにおいても重要な役割を持った国であることを強調した。また、デジタルトランスフォーメーション、持続可能な開発、力強い回復、食品安全保障、貿易と投資の促進を優先課題とする政策提言とレガシープログラムを紹介し、併せて中小企業支援、Wiki EntrepreneurイニシアティブやASEAN QRコード、ASEAN Net Zero Hub等の実施の重要性を述べた。また、ASEAN-Japan Young Business Leader Programへのサポートと日本の企業からのASEAN outlook summitへの参加を促した。

日本商工会議所 会頭小林 健

日本商工会議所小林会頭は、経済活動と国際往来は過去3年半における新型コロナの感染拡大による打撃からは回復したものの、ロシアによるウクライナ侵攻や米中対立など新たな地政学リスクの影響を受けている。日本経済においては、新型コロナの感染対策として強いられていた行動制限が緩和されたことによって、個人消費と設備投資が期待される一方で、人口減少・少子高齢化、人手不足、エネルギー問題等といった構造課題への対応が必要。しかしながら、これらの課題を認識しつつも現在の状況を成長への転換の好機と捉えるべきであり、日ASEAN友好協力50周年の重要性、日ASEAN経済共創ビジョン策定を目指すことや、信頼を基盤にした経済社会を実現する重要性を強調した。

東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA) 事務総長西村 英俊

西村ERIA事務総長は、ASEANと日本の50年の友好協力を祝うイベントに感謝を表明。その関係は1973年の日本ASEAN合成ゴムフォーラムから始まり、その後の資本の移動が日本企業のASEANにおける事業拡大、製品輸出を促進し、延いては地域産業の高度化と経済成長に貢献したと述べた。その後、パンデミックでデジタル化とサスティナビリティがより注目されるようになったことや、CADP 3.0でERIAが提唱する包括的なアプローチについて強調した。新興デジタル技術の導入が成長の鍵である一方、デジタルスキルのギャップは課題であると述べた。その状況に鑑みて、ERIAは日本政府の大きな支援を受けながら2023年に設立した「Digital Innovation and Sustainable Economy Center」を紹介した。30以上のユニコーン企業やスタートアップの急成長に注目しつつ、若いリーダーの革新力を活用した日ASEANの共創促進を目的とする旨説明し、このセンターがASEANと日本の経済共創への第一歩と期待されていることも述べた。